トレーディングカードの鑑定とは
では、さっそく掲題のテーマについて、話をしていきたいと思います。
トレーディングカードの鑑定とは、なんでしょうか。
簡単に申し上げると、以下のような定義になります。
外部評価機関が、トレーディングカードの真贋や状態について査定し証明をしてくれるプロセス
分かりにくいですね。さらに砕けて書くと、
プロの鑑定人があなたのカードを見て、カードが本物かどうか、さらにはカードの状態が優れているかどうかを教えてくれるもの
だと思ってください。
なんとなく凄そうですよね。
なぜ皆さん、お金をかけてカードの鑑定をするのでしょうか。
その理由はいくつかあるのですが、代表的なものを以下に3つ挙げてみましょう。
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①流動性の促進
②保管に適した特殊なケースへの封入
③希少価値の高いカードの証明
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それでは、細かく見ていきましょう。
①流動性の促進
トレーディングカードを趣味としている方の中にもいろいろな方がいます。
一度購入したカードは手放さない人もいれば、カードを売って新しいカードを購入する方もいます。
ここであげた流動性とは、どちらかというと後者のコレクター向けの話です。
そのカード自体が本物かどうか、またはどの程度の傷があるのかというのはなかなか判別しにくい実態があります。
もし貴方がカードのコレクターでしたら、ご経験があるかもしれません。
メルカリやヤフオクなどのネット購入の際、私たちは写真と出品者の記載だけでカードの状態を確認しなければなりません。
いざ購入をしてみると、傷だらけのカードが送られてくるなんていう苦い経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。
しかし、鑑定品はそうした不安を一定払拭してくれます。
鑑定品はカードが密閉されたケースの中に封入されており、外部から傷が付くリスクが限りなく低いです。
そして、カードの状態についてそれぞれの外部機関の指標で点数をつけてくれていますので、どれくらいの状態なのかがイメージしやすいのです。
これらの理由により鑑定品は通常のカードよりも安心して売買することができる、と考えられています。
②保管に適した特殊なケースへの封入
鑑定品の別のメリットとしては特殊なケースの中に密封されて保管できることです。
トレーディングカードとは言ってしまえば「紙」です。
折れもしますし、傷もつきます。
さらに言えば、湿度によっては曲がったりもしますし、太陽の光で日焼けもします。
この世界に存在する限り、どんなに頑張っても状態の劣化というのは避けようがありません。
しかし、鑑定会社がケースに密閉してくれると話が変わってきます。
基本的に鑑定ケースに封入されると外気に触れなくなるため、カードの劣化をかなり止めることができます。
もちろんその完全な真実は100年くらい経過しないとわからないかもしれません。
しかし、鑑定後のカードはキズや汚れ、湿気による劣化などのダメージからカードを守るのにかなり貢献してくれているのは事実です。
鑑定は、大切な自分のカードをより安全に保管したい、という要望にも応えてくれているのです。
③希少価値の高いカードの証明
鑑定可能なトレーディングカードであれば、鑑定会社は新しいカードでも古いカードでも同じ基準で鑑定をしてくれます。
これはどういうことかと言いますと、カードによって高評価の取得できる難易度が大きく変わることを意味しています。
ここでは鑑定会社をPSAに限定して見ていきましょう。
例として、こちらにポケモンカードのピカチュウをご用意しました。
一瞬、同じカードに見えますが、よく見ると違いますよね。
この2枚、実は販売時期がそれぞれ異なります。
そのため、もし仮にそれぞれPSA10の最高評価を得たとしても、そのカードの持つ希少価値というのは違うのです。
実際に数字で見てみましょう。
それぞれのPSAの鑑定情報は2021年10月17日時点で以下のようになっています。
左のピカチュウ
右のピカチュウ
この鑑定表の見方は別に解説しますが、合計(鑑定された合計の枚数)に対して10(PSA10の最高評価)の数の割合を見ていただくと、なんとなくお分かりいただけるのではないでしょうか。
右のピカチュウがほとんどが10なのに対して、左のピカチュウは9以下の枚数が多くなっていますよね。
実は左のピカチュウは1996年に発売されたパックに封入されたカードなので、とても古いカードなのです。
右のピカチュウの封入されていたパックの発売は2016年です。
発売時期の違いが見事に鑑定結果に表れていますね。
これがここでいう希少価値になります。
つまり、左のピカチュウのPSA10は希少価値が高いため、自分の出したカードがもし10を取得することができれば、自分のカードの希少性が高いという事実を証明できる、ということです。
※希少性の真偽に関して
希少性が高いという話は、本当は鑑定表だけでなく実態に照らしたものであるべきです。
なにを言っているかというと、ここの鑑定枚数とはあくまでもその鑑定会社で鑑定された総数に過ぎないということです。
世界のすべてのカードが鑑定されているわけではないため、この鑑定表だけでその希少性を問うのはどうなのかという議題があります。
そうした意味で、希少性というものを今後どう捉えていくのかというのは、TCG鑑定界における大きなテーマだと思われます。
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いかがでしたでしょうか。
トレーディングカードの鑑定における楽しみ方やメリットが少しでも皆さんに伝われば幸いです。
それでは。